杭の急速載荷試験

試験の概要

杭の鉛直支持力を求める方法として、これまで静的押込み試験が一般的に用いられてきました。しかし、同試験は、押込みのための反力抵抗体が必要であり、載荷重が大きい場合は載荷装置の規模が大きくなり、工費や工期の増大が大きな負担となっていました。これに対し、反力抵抗体を必要としない杭の急速載荷試験方法が、2002年5月に地盤工学会で基準化されました(JGS 1815-2002)。

目的

静的な支持力特性を確認または把握する

利用法

  • 静的な支持力特性の評価
  • 設計支持力の確認
  • 急速荷重に対する支持力特性の評価

試験の特徴

  1. 反力杭、載荷梁が不要である。
  2. 試験装置の組立て、解体が比較的短時間で済み、試験時間が短い。
  3. 全ての杭種、工法に適用可能。
  4. 押込み試験と同様に載荷中の杭体が全圧縮状態となる。
杭の鉛直載荷試験
杭の鉛直載荷試験は、荷重の性質から、静的載荷試験と動的載荷試験に大別されます。両者は、杭体および地盤の速度・加速度に依存する動的抵抗が無視できる載荷か否かで区分されます。動的載荷試験は、さらに急速載荷試験と衝撃載荷試験に分けられ、杭体の波動が無視できるか否かで区分されます。
杭の急速載荷試験
杭の急速載荷試験は、杭体の波動を無視するために、杭頭で発生した波動が杭先端に達して一往復する時間の5倍から500倍の速度で杭頭に荷重を載荷する試験です。
重錘質量20kN程度までの載荷装置

杭の急速載荷試験実績表

調査場所 実施年月 支持層土質 杭種 杭長L (m) 杭径φ (mm) 数量 (本) 備考
北海道 2015/9 砂質土 鋼管杭 48.3 600 3 FT20t
静岡県 2016/6 砂礫 PC 7.5~8.0 300 3 0.8t
北海道 2016/8 砂質土 PHC 52.0,53.0 700,800 2 FT24t
東京都 2017/1 砂・礫質土 鋼管杭 23 318.5 1 FT3.5t
東京都 2018/8 砂質土 SC+PHC 21 400 1 FT3.5t
神奈川県 2019/5 泥岩 鋼管杭 11.5 165.3 1 FT2t
東京都 2019/7 土丹 鋼管杭 13.1 1,200 1 アボロン2t

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